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分析応用編 ソルのメヌエットop.11-5

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Menuetto  op.11-5  タイトルのメヌエットはダンスの一種。速さはいちがいに言えません。しかしそのあとについている maestosoマエストーソは、「(威風)堂々とした」、といった意味を持つので、このメヌエットは少しゆっくり目であろうことは想像がつきます。作曲者ソルはベートーベンと同じぐらいの時代にスペインに生まれたギタリストであり作曲家です。  ハーモニーを調べる  この曲を知るためにまずハーモニーを調べます(詳しい手順は「分析のツール」参照)。その第一歩はこの曲の調を知ることから始めます。♯2つが調号(ト音記号のすぐ右につけられた♯や♭のこと)として書かれています。♯のついた調のばあい、長調だったら、一番右についている♯のひとつ上の音が「主音」です。単調だったらひとつ下が主音。  では主音を決めるてだてはなにか、メロディーの最後の音です。この音はまず間違いなく主音である可能性がたかい。この曲を調べてみると、レで終わっています。つまりDメジャーでできているということです。  Dメジャーの音階を書いてみます。音符の下に書かれているローマ数字はレの音を1として上昇していく順番につけられています。  その音階の上に3度ずつ音を乗せると、この調で基本的にでてくる和音が見出せます。音階の白音符の上にできるのが 「主要3和音」とよばれてもっとも頻繁にでてくるであろう和音です。和音にも同じように数字がつけられます。  ローマ数字の右に記号やアラビア数字が書いてありますが、いまのところ気にせずに。  ではこの曲の最初から見ていきましょう。  ギターは小さなオーケストラだ、と言われるようにギターは一台でベース、和音、メロディを同時にこなすことのできる楽器です。それを5線1段で書こうという(習慣)ことになっていて情報は全ては書ききれない、というの実情です。書かれていることを鵜呑みにはできないのです。「深読みをいつも余儀なくされる楽器」といってもいいと思います。そこで3段譜を用います。  この楽譜はソルが本当は書きたかったことをできる限り代弁できないかというアプローチです。一番上の段に伴奏音。2段目がメロディ。3段目がごらんのとおりベースです。ソルの頭の中にはこういう音の配列があったのです。 (譜例1)  楽譜を読む力が